日本以外の世界標準になったFM多重RDSのお話


ラジオと言えばアナログ放送(AM放送からFM放送)からデジタル放送、最近ではインターネットラジオと言われるように変化してきました。




しかし、世界的にみるとまだまだアナログラジオは使われています。そこで世界的に一番成功したFM多重のデータ放送、RDS(Radio Data System)についての「よもやま話」を少し...

因みにAmazon Relational Database Serviceの「RDS」ではないので悪しからず(笑)


RDSの規格は『EN 50067』は最新版でなければネットで公開されています。追加データ以外の技術的な内容は最新版でも同じです。

RDSはFM音声信号(~53KHz)より高い57KHz帯(パイロット信号19KHzの3倍)にデータを載せて放送しますが、ドイツでは『ARI(Autofahrer-Rundfunk-Informationssystem)』というシステムが同じ周波数を使っていました。そこでARI(57KHz±125Hz以下)とRDS(57KHz±1.187KHz中心)を同時に使用するときは同じ周波数の搬送波の位相を90°シフトすることと、中心信号成分が異なるという特性を利用してARIに影響がない状態で昇進されました。

RDS放送が開始されると10年以内にARIを終了とアナウンスされましたが、実際はそれ以降も放送設備がそのままのためか何年かは続いていました。

RDSのデータとして使える実効的な転送レートは高々、730bpsしかないけど、目的を交通情報の割り込み(TA)、放送局名(PS)、同一周波数放送局(AF)などに絞ったため、軽いハードウェアで実装でき、UKとスウェーデンで始まった放送はヨーロッパ全土で使われるようになった。

その後、Aleart-Cプロトコルを使った交通情報のTMC(Traffic Message Channel)が世界的に広がって交通情報の標準になって認知度は一気に広がった。


ここからよもやま話的な内容になります。RDSがここまで発展したのはRDS開始時期からこのプロジェクトをまとめてきた現在は『RDS Forum』 のCEO『Dietmar Kopitz』氏の熱意があったからだと思います。当初の活動拠点はブリュッセルでしたが、現在はジュネーブにいるようです。



日本と違ってヨーロッパでは同一番組が異なる周波数で沢山放送されています。車移動では少し移動すると周波数が変わってしまい、その都度、再チューンしながら聞いていましたが、RDSのAF機能で同一番組の周波数が情報が送られてくるようになり、自動で切り替わるようになりました。日本で例えれば同じ内容を流しているFMのNHKを高速道路で聞き続ける感じです。

メーカー毎に様々なテストコースを決めていて、スムーズに切り替わることを確認して製品を世に送り出しています。ちょくちょく切り替わるとその瞬間に音が変わって違和感があるんじゃないかと思うかもしれませんが、車を運転しながらラジオを聴いているとほとんど気づきません。エンジニアが頑張って調整しているんでしょうね~~

RDSなんて日本にいたら関係ない!
しかし、海外に行ったら局名表示とかは試してみたくなりませんか?

それが簡単にできそうなのはスマホ。一般的に日本ではFM放送を受信できるスマホは販売されていませんが、海外では結構あります。なぜかと言うとスマホのチップにはもともとFM受信機能が含まれていて機能させていないだけなのです。

日本で購入するにはSIMフリーのスマホでFM受信をサポートした機種を探すことになりますが。私の持っている「Zenfone Max m2」はワイドFMをサポートしているので可能性はありますが、国内向けなのでRDS機能が動くかどうかは未確認ですが、海外バージョンはサポートしています。国内向け機種を購入してからヨーロッパに行く機会がないので、まだ、試せません(涙)


RDSもラジオがデジタル化されてくると、転送レートも遅いし、終わりかと思っていましたが、『RDS2』なる規格を作成して、まだまだ、不死鳥のように頑張っているのが印象的です。