エンジニア的には音階と言えば周波数が気になりますが、音階の基準はラ(A4)を一般的には440Hzと定めています。
周波数について
「音律」にはピタゴラス音律、純正律、中全音律、平均律などありますが、ここでは数学的に一番扱いやすそうな「平均律」で音階を扱います。定義は
①周波数が半分になると1オクターブ低く、倍になると1オクターブ高くなる。
②1オクターブには12の音があり、隣り合う半音間での周波数の比率が同じ
数学的に言うと公比「r=1.059463094」の等比数列になると言う事です。また、音階の基準音として使用される「ラ」の音(ピアノ鍵盤の49番目)は440Hzなので、エクセルではこの音を基準音として
高くなるときは⇒440*1.059463094
低くなるときは⇒440/1.059463094
後はセルで繰り返し計算をすればピアノの88音階ができます。以下がエクセルで計算した結果です。
基準音にここでは「国際標準ピッチA=440Hz」を使いましたが、欧州や日本のオーケストラなどは音に張りが出る「442Hz」がよく使われているみたいです。音楽は芸術なので絶対と言う事はないようです。
1 | 27.500 | ラ | A0 |
2 | 29.135 | ラ# | A#0 |
3 | 30.868 | シ | B0 |
4 | 32.703 | ド | C1 |
5 | 34.648 | ド# | C#1 |
6 | 36.708 | レ | D1 |
7 | 38.891 | レ# | D#1 |
8 | 41.203 | ミ | E1 |
9 | 43.654 | ファ | F1 |
10 | 46.249 | ファ# | F#1 |
11 | 48.999 | ソ | G1 |
12 | 51.913 | ソ# | G#1 |
13 | 55.000 | ラ | A1 |
14 | 58.270 | ラ# | A#1 |
15 | 61.735 | シ | B1 |
16 | 65.406 | ド | C2 |
17 | 69.296 | ド# | C#2 |
18 | 73.416 | レ | D2 |
19 | 77.782 | レ# | D#2 |
20 | 82.407 | ミ | E2 |
21 | 87.307 | ファ | F2 |
22 | 92.499 | ファ# | F#2 |
23 | 97.999 | ソ | G2 |
24 | 103.826 | ソ# | G#2 |
25 | 110.000 | ラ | A2 |
26 | 116.541 | ラ# | A#2 |
27 | 123.471 | シ | B2 |
28 | 130.813 | ド | C3 |
29 | 138.591 | ド# | C#3 |
30 | 146.832 | レ | D3 |
31 | 155.563 | レ# | D#3 |
32 | 164.814 | ミ | E3 |
33 | 174.614 | ファ | F3 |
34 | 184.997 | ファ# | F#3 |
35 | 195.998 | ソ | G3 |
36 | 207.652 | ソ# | G#3 |
37 | 220.000 | ラ | A3 |
38 | 233.082 | ラ# | A#3 |
39 | 246.942 | シ | B3 |
40 | 261.626 | ド | C4 |
41 | 277.183 | ド# | C#4 |
42 | 293.665 | レ | D4 |
43 | 311.127 | レ# | D#4 |
44 | 329.628 | ミ | E4 |
45 | 349.228 | ファ | F |
46 | 369.994 | ファ# | F#4 |
47 | 391.995 | ソ | G4 |
48 | 415.305 | ソ# | G#4 |
49 | 440.000 | ラ | A4 |
50 | 466.164 | ラ# | A#4 |
51 | 493.883 | シ | B4 |
52 | 523.251 | ド | C5 |
53 | 554.365 | ド# | C#5 |
54 | 587.330 | レ | D5 |
55 | 622.254 | レ# | D#5 |
56 | 659.255 | ミ | E5 |
57 | 698.456 | ファ | F5 |
58 | 739.989 | ファ# | F#5 |
59 | 783.991 | ソ | G5 |
60 | 830.609 | ソ# | G#5 |
61 | 880.000 | ラ | A5 |
62 | 932.328 | ラ# | A#5 |
63 | 987.767 | シ | B5 |
64 | 1046.502 | ド | C6 |
65 | 1108.731 | ド# | C#6 |
66 | 1174.659 | レ | D6 |
67 | 1244.508 | レ# | D#6 |
68 | 1318.510 | ミ | E6 |
69 | 1396.913 | ファ | F6 |
70 | 1479.978 | ファ# | F#6 |
71 | 1567.982 | ソ | G6 |
72 | 1661.219 | ソ# | G#6 |
73 | 1760.000 | ラ | A6 |
74 | 1864.655 | ラ# | A#6 |
75 | 1975.533 | シ | B6 |
76 | 2093.005 | ド | C7 |
77 | 2217.461 | ド# | C#7 |
78 | 2349.318 | レ | D7 |
79 | 2489.016 | レ# | D#7 |
80 | 2637.020 | ミ | E7 |
81 | 2793.826 | ファ | F7 |
82 | 2959.955 | ファ# | F#7 |
83 | 3135.963 | ソ | G7 |
84 | 3322.438 | ソ# | G#7 |
85 | 3520.000 | ラ | A7 |
86 | 3729.310 | ラ# | A#7 |
87 | 3951.066 | シ | B7 |
88 | 4186.009 | ド | C8 |
シャープ(#)の付いたところが黒い鍵盤になります。平均律ではフラット(♭)も同じように黒い鍵盤を表しますが、基準になる音が違います。数学的には「ソ#」=「ラ♭」でも同じですが、音楽的にはいろいろ意味合いがあるあるようです。
全音階について
1オクターブ内に7つの音を順に並べたものを西洋音楽では「全音階」と呼んでいます。つまり12音階あるうちから特別なルールに沿って7音階を選んでいます。どういう音を選ぶかはいろいろと歴史があったんだと思いますが...ルールとしては「音」と「音」の間の関係が以下のような順番で「全音」(=半音+半音)と「半音」が並んでいます。この繰り返しなので何処から始まってもOKみたいです。実際にピアノの黒鍵と白鍵の並びを見ればこの全音階の並びを納得します(笑)
この場合はドレミファソラシ(ド)
[全 全 半 全 全 全 半]
エンジニア的に言うと周波数の差分データが「1101110」の繰り返しになるデータ集合と言う事になります。
1101110110111011011101101110
音階は感覚的な要素がかなりあるようで周波数的には理解不能ですが...
7音階の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」は[メジャースケール]と言われていますがここから以下のマイナースケールが発生しています。
[ナチュラルマイナースケール]
メジャースケールのAから並び替える
[ハーモニック・マイナースケール]
ナチュラル・マイナー・スケールの短7度を長7度へ変化させる
[メロディック・マイナー・スケール]
ハーモニック・マイナー・スケールの短6度を長6度へ変化させる
半音を何処の音階で上げるかは、これも感覚的な要素があるので、これも理解不能です。
三和音について
複数の音を同時に鳴らすと和音ができますが、色々な組合せがあるようです。勉強してみたのですが芸術的なことも関わるので結構複雑です。今回は「CEG」で構成される三和音をエクセルで分析してみました。
という振動数の比で定まる音階を純正律音階といいます。
純正律長音階では「ド」「ミ」「ソ」の和音、「ファ」「ラ」「ド」の和音、「ソ」「シ」「レ」の和音がそれぞれ4:5:6の周波数比になっています。
長音階
ド
|
レ
|
ミ
|
ファ
|
ソ
|
ラ
|
シ
|
ド
|
1
|
9/8
|
5/4
|
4/3
|
3/2
|
5/3
|
15/8
|
2
|
短音階
ラ
|
シ
|
ド
|
レ
|
ミ
|
ファ
|
ソ
|
ラ
|
1
|
9/8
|
6/5
|
4/3
|
3/2
|
8/5
|
9/5
|
2
|
今回、エクセルで調べている平均律ではド(523.251Hz)、レ(659.255Hz)、ミ(783.991Hz)なので「4 : 5.039684587 : 5.993230782]、ほぼ、「4:5:6」になっています。
周波数比が4:5:6の場合、どんな合成波形になるかエクセルで試しみました。2オクターブしたのド(130.813Hz)と同じ周期で波形が繰り返しています。
言い換えると、この音が含まれているように聞こえそうです。この効果を心理学的には「ミッシング・ファンダメンタル」効果と言って、実際には存在しない周波数が聞こえてしまいます。音楽的には音と音の差の「うねり」が聞こえることになるのでしょうか。
勿論、この波形をFFTなどの周波数分析をしてもドミソの3音しか周波数としては存在しません。不思議ですね~~
この「うねり」現象は人間には聞こえない超音波の周波数差で音を鳴らす「パラメトリック・スピーカー」の技術にも使われています。
「うねり」が音として聞こえるのは多分、人間の耳はリニアではなく歪んでいるために聞こえてくるのだと思います。エンジニア的に言うと相互変調歪「IM」が耳の中で発生してる(笑)
次回はエクセルで直接、MIDI音源を鳴らす事により、数列を自動演奏するマクロでも作成してみます。