年金受給者の親を扶養家族に入れるかどうかの判断基準は?


 確定申告の準備をするとき、多くの人が悩むのが「親を扶養家族」にするかどうかの判断です。扶養家族にするかどうかは税金だけの問題ですが、少しでも節税、いや節約したいのが小市民の気持ちです。

そこで、どういう状況なら扶養家族にした方がメリットが多いか考えてみます。因みに、「確定申告の更正」は5年前までさかのぼって変更できるのでゆっくり状況判断する時間はあります。

扶養家族にすると家族の健康保険に編入されて国民健康保険が免除になったり、所得税の扶養家族控除が増えたり税制上のメリット多々あります。所得税が減れば住民税も減って、税金で約8万円以上、国民健康保険料を含めればもっとメリットがあります。

しかし75歳を超えると後期高齢者保健になり、節税分だけになりますが、それでもかなり大きいです。

以上が、よくネットなどでメリットだけ強調した書き方です。

しかし、人間は高齢になればなるほど病院のお世話になります。日本には『高額療養費制度』と言う補助制度があり、医療費が低く抑えられています。日本の政治などはいつも批判されますが、この制度だけは海外にも誇れる制度だと思います。

この高額医療費が「扶養家族」にするとの大きなデメリットになります。75歳以上の年金受給夫婦で扶養家族になっていない時は、自己負担の月の上限は世帯で15000円でしたが、扶養家族になると現役世代並み年収扱いになり上限が一年間で1~3回目は57600円、4回以降は44400年になってしまいます。この差は

1~3回目までは 57600-15000=42600、4回目以降は44400-15000=29400

残念ながら高齢になると医療費は減ることはありません。

つまり、「扶養家族」化の判断基準はこの医療費がどちらが安いかと言うことになりそうです。

次に医療控除を考慮してみます。前提として上限まで医療費が毎月かかるという前提で計算すると

①独立 15000×12=180000

②扶養家族 42600×3+29400×264600=392400

③医療控除額 ①-100000=80000、②-100000=292400

自己負担の差は392400-180000=212400円、所得税と住民税合計で20%の減税ができる場合は前者は16000円、後者は58480円この差は58480-16000=42480円、少しは改善できます。税金の減額が約80000円としても、この前提条件では扶養家族にする方が損することになります(75歳以下で国民健康保険料を払ってる場合は良いバランスか?)。

結論としては上手く考えた制度で、扶養家族化は簡単には得をしない気がします。月平均の医療費がざっくり20000円を超えくる場合は、扶養家族にすると支払う金額が節税効果よりは多くなる可能性が高いと言うことになりそうです。

但し、片親だった場合は、自己負担の上限は15000→8000円になったりするのでケースバイケースで計算する必要があります。